Logicparadice趣向文章→マンホールで旅する街道【青梅街道編】

1、帰省


お盆である。帰省ラッシュである。
もし家にある超高画質ブラウン管テレビが映るなら
特急あずさの乗車率が400%とかって言っているのだろう。

自慢のテレビだったのである。

でも、なぜだか7月24日を期に急に観れなくなってしまった。

そんなおり、僕も帰省する。

が!金が、金が無いのである。
特急や高速なんてとてもじゃあないけど乗れやしない。

なので、下道をトコトコと帰ることにした。
信州から房総まで約300kmを下道で。





2、鉄蓋愛


ところで僕はマンホールが好きである。
その道のプロからすればまだまだだが、
それでも、国内外で100市区町村以上は確実に撮った気がする。

マンホールの何がいいかって、
第一に蓋には名産、有名観光地などがデザインされたものが多く、
観ただけで一瞬にして街の個性が分かっちゃうのだ。
第二にレアモノを見つけた時の興奮だ。

たとえば今回の出発地、松本市のマンホールは通常、民芸品の「松本手まり」である。

 カラー版はデザイン同じでも色々なカラーがあるんですよ。

だけれど、踏査経験から市内に二ヶ所だけ「レアモノ」がある。
「手まり」をつく女の子がデザインされているのだ。

 温かみがあっていいですよね。

この「僕しか知らない」的な優越感が何とも言えない。
これは、「路地」にも共通する!
別に誰も劣等感を感じてないことについては何も言わない。
これは、「路地」にも共通する!





3、事前調査


さてさて。
と言うことで道すがらのマンホール蓋を紹介すれば、
あたかも、街道沿いの観光地を旅したかのような感覚に浸れると踏んだのだ。

早速ルートを調べて通る市区町村を調べてみた。

ルートは松本市より、青梅街道の終点である新宿までとする。


より大きな地図で マンホールで旅する街道【青梅街道編】 を表示

こんな感じで、
長野県道63号線→東山山麓広域農道→国道20号線→山梨県道6号線→
→国道411号線(青梅街道)→都道5・4号線(新青梅街道)
を通るルートである。

すると、全部で24市区町村を通ることが分かった!
「特別区」は全部同じマンホールなので「1」として。

「結構あるじゃないか。」

嬉しい悲鳴とリアルな悲鳴を同時に上げ、この日は早く寝ることにした。





4、全24市区町村マンホール蓋と行政境界看板


来る8月13日。僕は早朝5時に起きて出発。
信州の朝は涼しく道路上にある温度計は19℃となっていた。快適。

快適過ぎて「ついでに行政境界の看板も撮って行こう」と思ってしまった。
これがかなり大変な作業だった!
まあ、とにもかくにも街道沿いのマンホール蓋を鑑賞して行こう!


(1)松本市(長野県道63号線及び東山山麓広域農道)

 唯一、僕が全身写っています(但し、影) カラーマンホール。駅前通りに多数。

 家庭用のものですね。こりゃ。 スタートの松本駅前より一直線。あがたの森公園。

前述した「松本てまり」がデザインされている。
なんで民芸品!?って思うかもしれないが、
5月にはクラフトフェアなる工芸品を扱った
大きな祭りがあって全国から人が集まる。

他に国宝松本城はもちろんのこと、
中村座の歌舞伎や小澤征爾さん率いるサイトウキネンなどが
定期的に開催されて文化薫る城下町が彷彿とさせるデザインである!


…と、無理矢理「旅した気分」になるようにこじつけたが、
どこまでもつのか若干不安。



(2)塩尻市(東山山麓広域農道及び国道20号線)

 岡谷市と標高が同じなのにお気づきになっちゃっただろうか??そうです。早速、松本市との境で撮り損ねたのです。 でも、レアモノ発見。こりゃ初めて観た!

通った道沿いのマンホール蓋なので、東山地区オリジナルのものだった。
馬がデザインされているから、宿場町のイメージかと思ったが、
なんか疾走しているような感じだ。

調べてみると草競馬が有名らしい!今度行ってみよう。



(3)岡谷市(国道20号線)

 どんどこどんどこどこどこどこどこ さりげなく足を主張するのは性格上の問題。

デザインは市の花ツツジだろう。
岡谷は諏訪湖で獲れるうなぎがうまい。
数年前、「あら川」という店に行った時、
市内のうなぎ屋協会かなんかで作ったいわゆる「ゆるキャラ」
の名前を募集していたので、店の名前にあやかり「ウナバウアー」で応募したが、
あっさり落選。「すわ湖太郎」なる名前になっていた。


(4)下諏訪町(国道20号線)

 これは諏訪市との境にあったやつですね。 こちらは岡谷市との境にあったやつ。

 我慢してみるも… やっぱり足は主張する。

町の木・さくらと町の花・つつじがモチーフ。
ここは諏訪大社の御柱祭か万治の石仏にしてほしかった所。



(5)諏訪市(国道20号線)

 温泉が描かれているけれど、間欠泉とか有名なんですよ。 なんでもそうだけど「花」と「汚」はいつも複雑な気持ちになる。

 このお祭りは全国的にも有名ですよね。 汚くないあやめ。

町の木・あやめがモチーフのものと、「諏訪湖流域」と書かれた御柱祭のものを発見。
今回は見つけられなかったが、下諏訪町にもきっとあるのだろう。
見つけられて満足!



(6)茅野市(国道20号線)

 茅野です。 茅野駅前まで来てみました。登山客多し!

 うひょー!発見。 普通だぜ!

諏訪市まで調子よく行っていたが、茅野市の国道沿いには
マンホールを見つけることが出来なかった。

国道沿いは建物が少なく下水が無いのかもしれない。

「マンホールを見つけたかったらまずは駅前に向かえ」
この鉄則に従い、駅前まで行ってようやく発見。
市の花「りんどう」である。

八ヶ岳などの山岳リゾートや高原的なイメージのある
茅野市にぴったりのデザインだ!



(7)富士見町(国道20号線)

 末広がり。 りんどうの妖精たち

思いっきり「すずらん」と書いてあるのでそうなのだろう。
かなり図案化されていて可愛い感じになっている。

ノーマークだったがみんな大好きwikipedia情報によると
日本ヒッピー発祥の地だという。

僕の将来の夢はヒッピーなので、今度じっくり視察に行きたい。



(8)北杜市(国道20号線)

 甲州に入りました! 白州の工場見学、好き。

 旧自治体の絶妙な駆け引きがあったのだろうか??

まず見つけたのは旧・白州町のマンホール、市の木・アカマツ、市の花・シャクナゲ
市の鳥・カッコウに南アルプスと全て詰め込みオンパレード!
そして、合併後の北杜市マンホール。左の桜は名所の神代桜、
右のアカマツは旧・白州、高根町の木で、真中は清流か?
そして周りの稲穂か麦は5円玉と同じで五穀豊穣的な意味か?

どうやら地域性の異なる町が合併したらしく、色々兼ね合いが難しいらしい。
この詰め込みマンホールもそれを垣間見ざるを得ない。



(9)韮崎市(国道20号線)

 韮崎。 なかなか整ったデザインです。

「武田の里」と書いてある。武田氏発祥の願成寺があるからだ。
市の木・コブシ、市の花・レンゲツツジ、市の鳥・ちょうげんぼうが配され、
これまた「市の○○」のオンパレード。この手の者は多いですね。



(10)甲斐市(国道20号線及び山梨県道6号線)

 山梨県は合併しまくっててよくわからないなあ。みんな、山梨を連想させる名前つけるし…。 中央道の双葉SAは高速バスでおなじみ。

 昇仙峡は未開拓。行ってみたい。

合併前の旧・双葉町と旧・敷島町のマンホールを街道沿いで見つけた。
双葉町は街の花・ツツジと町の木・センダン(栴檀)っぽい。

双葉町の名前はセンダンのことわざ
「栴檀は双葉より芳し」からつけられたらしく、
発展を願ってのものらしい。美しい町の付け方だ!

敷島町は町の木・アカマツと町の花・ヤマツツジに昇仙峡の長瀞(ナガトロ)橋。
有名観光地にメジャーな「市の○○」もさりげなく加えなかなかのデザイン。



(11)甲府市(山梨県道6号線及び国道411号線)

 県庁所在地。武田神社行く途中、大学生がいっぱいいて羨ましくなる。 右下のは白線。

甲府市なら上田市の真田氏六文銭みたいに
武田菱とかデザインされちゃっているんだろうか?
と思ったが、さらっと市の花ナデシコ。
観光資源の豊富な自信のデザイン。



(12)笛吹市(国道411号線)

 笛吹川が由来ですね。きっと。 スプリング

 夜に訪れてみたいですね。石和温泉。

合併前の旧・春日居町のマンホールを見つけることが出来た。
コンビニのおばちゃんに聞くと、この辺はぐちゃぐちゃと郡がばらばらに
合併していろんな市になったからややこしいとのこと。

「春日居町」の「春」!以上!
じゃ物足りないので石和温泉駅前にも行って石和町の写真も撮ってみた。
温泉、いいよね。川沿いに秘宝館を見つけた。秘宝館、いいよね。響きが。



(13)山梨市(国道411号線)

 甲府市、甲州市、山梨市、甲斐市。このあたりが一瞬、どこ県庁所在地?となりますね。 書体にこだわり。

 ぶどうが食いたい。

山梨市はオーソドックスに市の木・マツ、市の花・ツツジである。
にしても、多いなあ。マツとツツジ…。

そして、旧・牧丘町のマンホール。
さすが巨峰が名産の地域。葡萄を前面に押し出している。
こういう一発で町の特徴分かるの、いいよね。



(14)甲州市(国道411号線)

  このマンホールは今回のコンセプトに適合。

合併前の旧・塩山市のマンホールを見つけることが出来た。
タイトルである青梅街道の最大の難所であった大菩薩峠がデザイン!
うーん、良かった!こういうマンホールがあって!
いかにも街道沿いのマンホールを巡ってる感じである。



(15)丹波山村(国道411号線)

 甲州街道より空いていてよい。 実際、甲州街道の裏街道だったらしいよ。

中心に村章と言う超シンプルデザイン。

 青梅街道は。 ゲリラ豪雨。暇なので名物だという鹿肉ウィンナー食う。

でも、道は超峠道で、しかも流行りのゲリラ豪雨に遭って、
道の駅で1時間ほど足止めを喰らった。

 こまどり、ぶな、岩つつじ。

そして、雨が上がり出発してみたら、デザインマンホール発見。
しかも、丁寧に説明付!マンホールに書いてあるとおりなので
疑いようもなく受け入れるのみ。



(16)奥多摩町(国道411号線)

 ついに首都っすよ! 最西端ですけどね。自然がいっぱい。

スギ、みつばつつじ、やまどりの三つ巴。
どれも町のイメージ通りでなかなかいい。
10年ほど前キャンプをしたことを思い出す。



(17)青梅市(国道411号線及び東京都道5号線)

 つくづく旨そうな名前だと思う。 これも結構好きなデザイン。

名前のイメージの通り、市の花はウメ、市の鳥はウグイスらしい。
青梅街道の「青梅」を冠する自治体である。

 「多摩川へ」と書いてある。

また、多摩川流域下水道も発見。
こんな清流、守って行きたいですね。



(18)瑞穂町(東京都道5号線)

 正直初めて聞いた町でした。すみません。 ふぁいなんしゃるぐるーぷ

木はモクセイとマツ、花はツツジ、鳥はヒバリだろう。

 この静けさ…。びっくり!

…にしても、奇跡的に大混雑だった街道沿いが一瞬車の流れが途切れた。
お陰で写真を撮ることが出来た。



(19)武蔵村山市(東京都道5号線)

 「ム」 迷路型

 亀甲型 そして、この命名に悩む。

武蔵村山市、デザインマンホール見つけられず。
なので、市章を中心に配した3パターンを探し出してご紹介。
色々あるもんだ。



(20)東大和市(東京都道5号線)

 ここでぼそっと言うけれど、かなり暑い中、停めて下りて、歩いて、撮るの大変なんですよっ!!…とこのころ完全に疲労がピーク。 下の文章なんて言い訳ですよ。撮るのがテキトーになってきたと言っても過言ではない。

斜めの写真、ご容赦願いたい。
今までの至らない写真もそうだが、マンホールの多くは
車道にあって、結構アクロバティックに撮影しなくちゃならないのだ。
ここでは車が全然途切れず、歩道から撮ることにした。

もはやここまで来て、多すぎ!感が漂う、市の花・ツツジです。



(21)東村山市(東京都道5号線)

 いっちょめ、いっちょめー 取水塔≒帝釈天が根強い。

これもかなり斜めで申し訳ないです。
これはなんだろう??と思ったらどうやら
多摩湖の取水塔らしい!画像を観てみると結構美しい!
洒落てるなー。このマンホール、好き。




(22)東久留米市(東京都道5号線)

 福岡に久留米市ってあるから「東」つけたらしいです。 亀甲型しかないのかなー

 と、思ったらあった。

市章亀甲マンホールと市の木・イチョウのマンホール。
東大和、東村山、東久留米とヒガシ、ヒガシと三連続。



(23)西東京市(東京都道4・5号線)

 ケヤキはまあ、わかります。 ツツジ?違うのかな、と思っちゃいます。

…と思ったら西東京!じゃあこれより西の市町村の立場は!?
と、思わずにはいられないが、とりあえずマンホールは旧・田無市の。
市の木・ケヤキと、デザイン化されすぎて分からないが、
市の花・タナシツツジだと思う。

ちなみに、都道の区間が短いからか西東京のみ行政境界看板見つからず。
「田無市」の表示は多く残っていのだけれど。残念。



(24)東京特別区(練馬区・杉並区・中野区・新宿区) (東京都道4・5号線)

 23区です。 これは新宿で撮りました。完全に日も暮れてフラッシュ使用。

 公共交通以外で新宿にいることに興奮してついつい 何気ない写真を撮っちゃうもんだ。うえるかむ!

そして、ついに来ました。特別区!
マンホールは東京都の木・イチョウと花・ソメイヨシノがデザイン。
これは、東京に行った時そこらじゅうで見るので特に思い入れ無し!





5、満身創痍(まとめ)


マンホールは都会になればなるほど停車する場所がなく撮影が難儀だった。
行政境界の看板も撮るなんて決めてしまったから走ってる最中、
上に下にと気を配り続けなければならず通常の2倍は疲れたと思う。

行政境界は基本、同じ道沿いには二ヶ所しかないから
通り過ぎたらもうお終いだからだ。ましてや都内の道なんて戻れやしない。

「4」ではさらっと写真を載せたが、かなり苦労して23枚撮ったのである。

ついでに、マンホールは案外「市の花」やら
「市の鳥」なんかがデザインされていたのだけれど、
どうだろう?旅した気になっていただけただろうか?


なんだか、思いがけない長さになってしまった。
読んでくれた方、ありがとうございます。


下の写真は豊洲のららぽーとで休憩していた時のもの。夜景がきれいだった。
「ああ。これで街道の旅も終りだ。」
と、この時満足感に打ちひしがれてペプシのカリビアンなんちゃら味を飲んでいた。

 すっかり暮れちまった…。

そして気がつくのである。
「そうだ。これから千葉に帰らなくちゃ」と。
結局全行程に16時間を要し、旅は終わった。

満身創痍ってきっとこう言うことを言うのだろう。

でも満足!
書いた日:2011年8月14日

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